状態監視が成り立つのは、ほとんどの設備が前触れなしには故障しないからです。まず変化が現れます。振動の仕方が変わり、少し熱くなり、同じ仕事に対して電流が増えます。大切なのは、どの信号がどの問題を示し、どのくらい早く現れるのかを知ることです。
振動
振動は加速度センサーや速度センサーで測定します。多くの場合、軸受ハウジングに取り付けます。
何を捉えるか
- アンバランス: 回転数(1×)に強い成分が現れます。
- ミスアライメント: 回転数の1×と2×に成分が現れ、軸方向にも出ることが多くあります。
- ガタ(緩み): 回転数の多くの高調波が現れます。
- 軸受の損傷: より高い周波数にエネルギーが現れます。エンベロープスペクトルのような専門的な解析で見え、設備の音や感触が変わるより前に捉えられることも少なくありません。
- ギアの問題: ギア噛み合い周波数とそのサイドバンドに成分が現れます。
どのくらい早いか: 回転機器の警告として最も早いものの1つで、軸受が壊れる数週間前に現れることもありますが、常にそうとは限りません。
注意点
- 1回の測定値より、トレンドのほうが重要です。設備を、その設備自身の正常な状態と比較します。
- 全体の振動レベルには規格があります。ISO 20816 は、設備クラスと大きさごとにゾーンを定めています。基準として使い、唯一のルールにはしないでください。
- センサーの位置と取り付け方で測定値が変わります。センサーを動かすと、ベースラインも変わります。
温度
何を捉えるか: 過負荷、潤滑不良、冷却の詰まり、軸受の劣化、そしてモーターでは巻線の過熱です。熱機器は、温度のばらつきや、設定温度を保つのに必要な電力に、健全性が現れます。
どのくらい早いか: 振動よりも遅くなります。温度は、損傷がすでに大きくなってから摩擦に反応し、熱容量のために応答も遅くなります。
注意点
- 同じ負荷、同じ周囲温度で比較します。暑い日は故障ではありません。
- 値そのものより、上昇の速さのほうが多くを語ることがよくあります。
- 巻線温度はモーターを保護しますが、それが作動したときには、すでにラインは止まっています。
モーター電流
何を捉えるか: モーターの電気的な負荷は、設備の機械的な負荷を表します。
- 同じ出力で電流が上がっているなら、摩擦、流れの詰まり、部品の摩耗が考えられます。
- 相間で電流が不揃いなら、電源または巻線の問題が考えられます。
- 詳細な電流シグネチャ解析では、ロータの問題や一部の機械的故障を見つけられますが、より専門的な作業が必要です。
どのくらい早いか: 緩やかな機械的劣化に対しては比較的早く、電気的な問題に対しては即座に現れます。
注意点: 電流はプロセスの負荷に左右されるため、出力、回転数、トルクと照らして解釈します。
プロセス信号:圧力、流量、サイクル
- ポンプ: 同じ回転数で、以前より流量や圧力が下がっているポンプは、摩耗かキャビテーションが起きています。性能曲線と比較します。
- コンプレッサー: ロードの周期が短くなり、圧力の低下が速くなるのは、漏れやバルブの摩耗によく見られる兆候です。油温と振動が、さらに詳しい情報を加えます。
- コンベヤの駆動部: ベルト速度が低下する一方で電流が上がるなら、ベルトの張力かローラーの軸受が原因と考えられます。
信号を組み合わせる
1つの信号はヒントを与え、複数の信号が揃うと確信が得られます。
| 信号 | 示す典型的な問題 | どのくらい早いか | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 振動 | 軸受、アンバランス、ミスアライメント、ガタ | 早い | 適切なセンサー位置とベースラインが必要 |
| 温度 | 過負荷、潤滑、冷却、軸受の後期の損傷 | 遅め | 負荷と周囲温度に左右される |
| モーター電流 | 機械的な摩擦、電気的な故障 | 中程度 | プロセスの負荷に左右される |
| 圧力と流量 | ポンプの摩耗、キャビテーション、漏れ | 中程度 | 性能曲線と比較する |
| サイクル回数 | 漏れ、バルブの摩耗 | 中程度 | 設備の通常のパターンが必要 |
常に文脈を加えてください。負荷、回転数、周囲温度です。それがなければ、運転上の通常の変化が故障に見え、本物の故障が運転上の変化に隠れてしまいます。
監視では見えないもの
- 突発的な故障。 巻線の短絡や、衝撃荷重による軸の破断などです。
- 測定していない部品の故障。 部品の近くにセンサーがなければ、何も警告してくれません。
- 設備自身の信号には現れない、プロセス自体の問題。
よい状態監視は、この点に正直です。前兆のある故障モードでは突発事態を減らしますが、すべての故障をなくすわけではありません。
どこから始めるか
重要設備を1台選び、これらの信号のうちコントローラーやドライブにすでにあるものを確認し、欠けている箇所に振動を追加します。数週間かけて通常の挙動を記録し、すべてのアラートを、その設備を最もよく知る人と一緒に確認してください。